俺様社長と極甘オフィス
そして、その意味を知ったのは、彼の秘書としてしばらく経ったある日のこと。彼の父親であり、当事の社長と面談したときだった。近況や仕事のことを訊かれて答えていた際、突然の爆弾が落とされたのだ。
『それにしても驚いたよ、ずっと女性秘書をつけるのを嫌がってた京一が、藤野くんなら秘書にしてもいい、と言ってきたときは』
とんでもない発言に私は目を剥いた。そこで聞いた彼の話。なんでも正一氏の最初の奥さんであり、彼の母親は、彼を生んで間もなく、病気で亡くなったらしい。
その当時、正一氏は随分と落ち込み、忙しいながらも。残された子どもを育てようと必死だった。
そんなときに支えになってくれたのが秘書をしていた女性だそうだ。彼女は離婚歴があったが、子どもはおらず、長い間仕事のパートナーとしてそばにいてくれた。
そしていつしか愛情が芽生え、ふたりは結婚。ほとんど母親の記憶のない彼は、その女性に随分と懐き、弟もできて幸せそのものだったという。
しかし、結局は色々あって離婚することになったんだとか。もう何十年も前のことなのに、あのときは一度に母親と弟をなくさせてしまい、申し訳ないことをした、と話す正一氏は、本当に辛そうだった。
そのせいかどうかは分からない。けれども、彼は自分に女性秘書をつけることを妙に躊躇っていた。女性のあしらい方は心得ているが、仕事上のトラブルは避けたかったらしい。
現に、秘書になった女性に好意を持たれてしまい、断ると立て続けに辞められたということもあったんだとか。
『それにしても驚いたよ、ずっと女性秘書をつけるのを嫌がってた京一が、藤野くんなら秘書にしてもいい、と言ってきたときは』
とんでもない発言に私は目を剥いた。そこで聞いた彼の話。なんでも正一氏の最初の奥さんであり、彼の母親は、彼を生んで間もなく、病気で亡くなったらしい。
その当時、正一氏は随分と落ち込み、忙しいながらも。残された子どもを育てようと必死だった。
そんなときに支えになってくれたのが秘書をしていた女性だそうだ。彼女は離婚歴があったが、子どもはおらず、長い間仕事のパートナーとしてそばにいてくれた。
そしていつしか愛情が芽生え、ふたりは結婚。ほとんど母親の記憶のない彼は、その女性に随分と懐き、弟もできて幸せそのものだったという。
しかし、結局は色々あって離婚することになったんだとか。もう何十年も前のことなのに、あのときは一度に母親と弟をなくさせてしまい、申し訳ないことをした、と話す正一氏は、本当に辛そうだった。
そのせいかどうかは分からない。けれども、彼は自分に女性秘書をつけることを妙に躊躇っていた。女性のあしらい方は心得ているが、仕事上のトラブルは避けたかったらしい。
現に、秘書になった女性に好意を持たれてしまい、断ると立て続けに辞められたということもあったんだとか。