俺様社長と極甘オフィス
社長と共に足を進めていると、ふと彼の足が止まった。
「あれ、“じょういち”だ」
「じょういち?」
人名ではあるのだろうが覚えがない。仕事関係ではなく個人的な知り合いだろうかと思って、社長の視線の先を追うと、そこには私も知っている人物がいた。
「倉木さんじゃないですか」
窓際の席で女性と座っている男性は、社長の異母弟さんでアッパーフロアにあるコンサルティング会社に勤めている倉木高雅(くらきたかまさ)さんだ。
目が大きいところは社長と似ていると思うけれど、目元はどこか優しくて甘い雰囲気の社長に対し、倉木さんの方は涼し気な印象だ。
社長と異母兄弟、さらに紀元正一の息子であるという事実は、本人たっての強い希望で伏せるように言われている。
「よし、声をかけよう」
しかし、そんなことをまったく無視するのが、この人である。
「え、どう見てもお邪魔だと思うのですが」
「そう、邪魔しに行こう。あいつがここに女の子連れてくるなんて初めてだし、興味ある」
また嫌がられると分かっているのに、社長はこういう態度をとるのだ。本当は弟をかまいたいのに、いつも冷たくあしらわれている。
まるで社長の片思いだ。倉木さんも若干素直になれないところがあるのだと私は分析しているけれど。
「あれ、“じょういち”だ」
「じょういち?」
人名ではあるのだろうが覚えがない。仕事関係ではなく個人的な知り合いだろうかと思って、社長の視線の先を追うと、そこには私も知っている人物がいた。
「倉木さんじゃないですか」
窓際の席で女性と座っている男性は、社長の異母弟さんでアッパーフロアにあるコンサルティング会社に勤めている倉木高雅(くらきたかまさ)さんだ。
目が大きいところは社長と似ていると思うけれど、目元はどこか優しくて甘い雰囲気の社長に対し、倉木さんの方は涼し気な印象だ。
社長と異母兄弟、さらに紀元正一の息子であるという事実は、本人たっての強い希望で伏せるように言われている。
「よし、声をかけよう」
しかし、そんなことをまったく無視するのが、この人である。
「え、どう見てもお邪魔だと思うのですが」
「そう、邪魔しに行こう。あいつがここに女の子連れてくるなんて初めてだし、興味ある」
また嫌がられると分かっているのに、社長はこういう態度をとるのだ。本当は弟をかまいたいのに、いつも冷たくあしらわれている。
まるで社長の片思いだ。倉木さんも若干素直になれないところがあるのだと私は分析しているけれど。