俺様社長と極甘オフィス
さりげなく偶然を装って名前を呼ぶと、案の定、倉木さんはものすごく嫌そうな顔を社長に向けた。そんなことで怯む社長ではないが。
「珍しいな、お前が女の子連れてここに来るの」
「関係ないだろ」
「こっちが商談をまとめようと、必死で仕事をしてるというのに」
厳密にいえば違うが、そこは詳しく説明するところではない。私はこっそりと倉木さんが連れている女性を見た。
栗色の髪を綺麗にアップし、どこか幼さの残る顔立ちの彼女に濃紺のワンピースは上品でよく似合っている。派手さはないけれど、それがまた彼女の可愛らしさを際立たせていた。
「それが、お前の仕事だろ。あんまり藤野さんの手を煩わせるなよ」
「しょうがない、それが藤野の仕事だ」
いつの間にか、自分の名前が会話に出ていることで我に返った。
「開き直るな、って。藤野さんもお疲れ」
律儀にこちらに挨拶してくれる倉木さんに私も頭を下げる。
「お疲れさまです。……社長、そろそろお時間です」
「お、そうか。デートを邪魔して悪かったな。じゃぁな」
色々な意味で、この場を早々立ち去るべきだと判断した私が声をかけると、社長は素直に応えてくれて我々は今度こそラウンジを後にしたのだった。
「珍しいな、お前が女の子連れてここに来るの」
「関係ないだろ」
「こっちが商談をまとめようと、必死で仕事をしてるというのに」
厳密にいえば違うが、そこは詳しく説明するところではない。私はこっそりと倉木さんが連れている女性を見た。
栗色の髪を綺麗にアップし、どこか幼さの残る顔立ちの彼女に濃紺のワンピースは上品でよく似合っている。派手さはないけれど、それがまた彼女の可愛らしさを際立たせていた。
「それが、お前の仕事だろ。あんまり藤野さんの手を煩わせるなよ」
「しょうがない、それが藤野の仕事だ」
いつの間にか、自分の名前が会話に出ていることで我に返った。
「開き直るな、って。藤野さんもお疲れ」
律儀にこちらに挨拶してくれる倉木さんに私も頭を下げる。
「お疲れさまです。……社長、そろそろお時間です」
「お、そうか。デートを邪魔して悪かったな。じゃぁな」
色々な意味で、この場を早々立ち去るべきだと判断した私が声をかけると、社長は素直に応えてくれて我々は今度こそラウンジを後にしたのだった。