俺様社長と極甘オフィス
住友さまにせっつかれて、磯山さんが声をかけてくれた。これは、あくまでも仕事だ。同じ秘書であるから分かる。ボスにそんなふうに言われたら、磯山さんだって断れないだろう。どうしようか。
「駄目ですよ、住友社長」
と、そのとき後ろから声がかかった。振り向けば、そこには社長の姿があった。来客はどうだったのか。そんなことを尋ねる間もなく私のそばに歩み寄って来ると、強引に肩を抱いてきた。
「彼女は俺のものなんですから。勝手に口説かれたら困ります」
その言い方は、随分とおどけていたけれど、肩にこめられた力は強い。私はその発言を否定するよりも先に、大事な先方にそんなことを言っても大丈夫なんだろうか、と眉を寄せる。
そんな私の心配を吹き飛ばすかのように、住友さまは大きな声をあげて笑った。
「そうか、そうか。これは悪かった。いやなに、うちでもヘリを所有したら、ぜひ藤野さんに操縦してもらおうと思ったんだが」
「彼女の操縦の上手さを認めてくださって感謝しますが、こちらも手放すわけにはいかないので。磯山くんも悪いね」
「いいえ」
社長が顔を向けると、磯山さんは軽く頭を下げる。そして住友さまが会社に戻る旨を告げ、私たちは素直に彼らを見送ることになった。
「駄目ですよ、住友社長」
と、そのとき後ろから声がかかった。振り向けば、そこには社長の姿があった。来客はどうだったのか。そんなことを尋ねる間もなく私のそばに歩み寄って来ると、強引に肩を抱いてきた。
「彼女は俺のものなんですから。勝手に口説かれたら困ります」
その言い方は、随分とおどけていたけれど、肩にこめられた力は強い。私はその発言を否定するよりも先に、大事な先方にそんなことを言っても大丈夫なんだろうか、と眉を寄せる。
そんな私の心配を吹き飛ばすかのように、住友さまは大きな声をあげて笑った。
「そうか、そうか。これは悪かった。いやなに、うちでもヘリを所有したら、ぜひ藤野さんに操縦してもらおうと思ったんだが」
「彼女の操縦の上手さを認めてくださって感謝しますが、こちらも手放すわけにはいかないので。磯山くんも悪いね」
「いいえ」
社長が顔を向けると、磯山さんは軽く頭を下げる。そして住友さまが会社に戻る旨を告げ、私たちは素直に彼らを見送ることになった。