俺様社長と極甘オフィス
「気になっていたんですが、何故、社長は倉木さんのことをじょういちって呼ぶんですか? 彼の名前は高雅さんだと記憶していますが」
すると社長はなんだか意地悪そうに笑った。
「それがさ、高雅が生まれたとき元々、じょういちって名前が候補だったんだよ。漢字は知らないけど、じいさんが提案したそうだ。ちなみに俺や親父の名前もじいさんの独断専行で名付けたらしい。ただ、高雅の場合は、母さんがかなり反対して、じょういちは却下されたみたいだったけれど。まぁ、母親としては面白くないよなー」
そこは実の祖父ではなく、倉木さんのお母さんの肩を持つのが少し意外だった。
「おじいさまは、がっかりされたんじゃないですか?」
そのときの前一氏の様子が少しだけ気になったので訊いてみる。
「そうだな。『せっかく繋がりのある名前だったのに』って残念そうだったよ」
「繋がり、ですか?」
「ほら、じいさんも含め、みんな“一”がついてるから、そういうことじゃないか? にしても俺の名前なんて、“きょういち”って読みをよく間違われたりもしたけれど、じいさんは京の字で“けい”って読ませることを譲らなかったらしい」
「なにかこだわりがあったんでしょうか」
「さぁ? 昔の人だからなぁ」
そこで、この話題は終了した。おかげで来週の土曜日の話もだ。社長がどうして今回のお見合いの話を私にしないのかは、分からない。
ただひとつ言えるのは、今回のお見合いに対しては、社長は珍しく前向きで、それを私には知られたくないと言うことだ。
すると社長はなんだか意地悪そうに笑った。
「それがさ、高雅が生まれたとき元々、じょういちって名前が候補だったんだよ。漢字は知らないけど、じいさんが提案したそうだ。ちなみに俺や親父の名前もじいさんの独断専行で名付けたらしい。ただ、高雅の場合は、母さんがかなり反対して、じょういちは却下されたみたいだったけれど。まぁ、母親としては面白くないよなー」
そこは実の祖父ではなく、倉木さんのお母さんの肩を持つのが少し意外だった。
「おじいさまは、がっかりされたんじゃないですか?」
そのときの前一氏の様子が少しだけ気になったので訊いてみる。
「そうだな。『せっかく繋がりのある名前だったのに』って残念そうだったよ」
「繋がり、ですか?」
「ほら、じいさんも含め、みんな“一”がついてるから、そういうことじゃないか? にしても俺の名前なんて、“きょういち”って読みをよく間違われたりもしたけれど、じいさんは京の字で“けい”って読ませることを譲らなかったらしい」
「なにかこだわりがあったんでしょうか」
「さぁ? 昔の人だからなぁ」
そこで、この話題は終了した。おかげで来週の土曜日の話もだ。社長がどうして今回のお見合いの話を私にしないのかは、分からない。
ただひとつ言えるのは、今回のお見合いに対しては、社長は珍しく前向きで、それを私には知られたくないと言うことだ。