俺様社長と極甘オフィス
「お帰り、藤野」
そんな思いで社長室のドアを開けると、てっきり帰っていたと思っていた社長が声をかけてくれた。
「まだ、残っていらしたんですか」
「そりゃ、藤野をおいて帰れないよ」
まただ。いつもなら、なんでもない言葉も今日はいちいち引っかかる。そんな私を気にする素振りもなく、フライトはどうだった?と尋ねてくるので、私は手短に説明した。
「へー、あいつも可愛いところあるんだな」
自分のデスクで作業しながら、感心したように言う社長に、なんだか余計なことを喋ってしまったかと罪悪感が募る。
次に倉木さんに会ったときは、忘れずにお詫びを告げようと決意する。その前に社長がからかいの言葉をかけるのが早そうではあるが。
「でもいいね、ヘリでふたりで夜景観賞なんて」
「そうですね」
それには素直に同意する。そして私は迷いながらも続けた。
「社長も、もし一緒に乗りたい方がいらっしゃったら仰ってくださいね」
「どうしたの? いつも気まぐれにヘリを使わないでください、なんて怒るのに」
苦笑する社長に私は押し黙る。ふたり、という言葉に先ほどの倉木さんの発言を思い出した。
『藤野さんとふたりになりたいんだよ』
社長が私用で、よく気まぐれにヘリを利用する、なんて話したときに返ってきた言葉。そんなことはない。今日の倉木さんたちと、私たちのふたりは全然違う。
そんな思いで社長室のドアを開けると、てっきり帰っていたと思っていた社長が声をかけてくれた。
「まだ、残っていらしたんですか」
「そりゃ、藤野をおいて帰れないよ」
まただ。いつもなら、なんでもない言葉も今日はいちいち引っかかる。そんな私を気にする素振りもなく、フライトはどうだった?と尋ねてくるので、私は手短に説明した。
「へー、あいつも可愛いところあるんだな」
自分のデスクで作業しながら、感心したように言う社長に、なんだか余計なことを喋ってしまったかと罪悪感が募る。
次に倉木さんに会ったときは、忘れずにお詫びを告げようと決意する。その前に社長がからかいの言葉をかけるのが早そうではあるが。
「でもいいね、ヘリでふたりで夜景観賞なんて」
「そうですね」
それには素直に同意する。そして私は迷いながらも続けた。
「社長も、もし一緒に乗りたい方がいらっしゃったら仰ってくださいね」
「どうしたの? いつも気まぐれにヘリを使わないでください、なんて怒るのに」
苦笑する社長に私は押し黙る。ふたり、という言葉に先ほどの倉木さんの発言を思い出した。
『藤野さんとふたりになりたいんだよ』
社長が私用で、よく気まぐれにヘリを利用する、なんて話したときに返ってきた言葉。そんなことはない。今日の倉木さんたちと、私たちのふたりは全然違う。