俺様社長と極甘オフィス
「ちょっと近くまで来たのもあって、京一くんがいたら報告したいこともあったから寄ってみたの。突然、ごめんなさいね」
「いえ。もし私でよろしければ、言伝を承りますが」
仕事のことでもないのに、私が承る役でもないと思ったが、ついいつもの調子で訊いてしまった。すると美代子さんは、待ってましたと言わんばかりに顔がぱっと明るくなる。
「実は私、正一さんと再婚することになったの!」
え!? と声に出る寸前で押し留める。私の反応など待たずに美代子さんは続けた。
「この前、久々に息子に会って、あ、息子もこのビルで働いているんですけどね」
「倉木高雅さんですよね。存じております」
「あら、ご存知? さすが秘書さんね。そうそう息子に会ってこのことを告げたら、すっごく嫌な顔されてね。おめでとう、よりも『寄りを戻すくらいなら、なんで別れたんだよ!』なんて責められちゃって」
そんな倉木さんが安易に想像できて私は心の中で苦笑する。すると美代子さんは急に物悲しそうな表情になり、視線を遠くに向けた。
「自分の人生だし、後悔はしていないけれど、あの子には申し訳ないことをしたと思う。最初の人は、若気の至りで両親の反対もあったのに結婚しちゃって、すぐに離婚。
もう男なんて頼らない、仕事に生きる、と思って正一さんの秘書になったんだけれど、私が秘書になったときには奥様を亡くされていて、幼い京一くんのために彼は必死だったわ」
思い出すように話し出す美代子さんの話に私は口を挟まずに耳を傾けた。
「いえ。もし私でよろしければ、言伝を承りますが」
仕事のことでもないのに、私が承る役でもないと思ったが、ついいつもの調子で訊いてしまった。すると美代子さんは、待ってましたと言わんばかりに顔がぱっと明るくなる。
「実は私、正一さんと再婚することになったの!」
え!? と声に出る寸前で押し留める。私の反応など待たずに美代子さんは続けた。
「この前、久々に息子に会って、あ、息子もこのビルで働いているんですけどね」
「倉木高雅さんですよね。存じております」
「あら、ご存知? さすが秘書さんね。そうそう息子に会ってこのことを告げたら、すっごく嫌な顔されてね。おめでとう、よりも『寄りを戻すくらいなら、なんで別れたんだよ!』なんて責められちゃって」
そんな倉木さんが安易に想像できて私は心の中で苦笑する。すると美代子さんは急に物悲しそうな表情になり、視線を遠くに向けた。
「自分の人生だし、後悔はしていないけれど、あの子には申し訳ないことをしたと思う。最初の人は、若気の至りで両親の反対もあったのに結婚しちゃって、すぐに離婚。
もう男なんて頼らない、仕事に生きる、と思って正一さんの秘書になったんだけれど、私が秘書になったときには奥様を亡くされていて、幼い京一くんのために彼は必死だったわ」
思い出すように話し出す美代子さんの話に私は口を挟まずに耳を傾けた。