俺様社長と極甘オフィス
「それで、なんて入れたらいいんだ?」
「一を入力して、それからゼロを十五回押してください」
「十五回!?」
予想以上の桁数だったのか、社長が驚きの声をあげた。私が軽く頷くと、社長は渋々、数えながら丁寧に打ち込んでいく。
「で、この数字はなんなんだ?」
「“けい”ですよ」
「けい?」
視線をこちらに寄越さないままおうむ返しをしてくる社長に私は説明を始める。
「はい。十の十六乗のことです。美代子さんから、倉木さん候補名だった穣一の漢字を伺って、分かったんです。おじいさまは、息子や孫に一を入れて繋がりを持たせたかったほかに、別の繋がりも入れていたんだって」
「どういうことだ?」
「顧問のお名前は正一、社長のお名前は京一。これだけでは分かりませんでした。でもそこに穣一という名前を加えると、ある共通点が見えてきたんです」
自分が入力している数字と、今の説明で社長も気づいたらしい。驚いたような表情でこちらを向いた。なんだか、こんなにもはっきりと視線を交わらせるのは久しぶりの気がする。
「そうです。正も、京も、穣も、すべては数字の桁を表すんです。阿僧祇や恒河沙と同じで」
穣という漢字をどこで見たのか。普段はそんなに目にしない漢字だ。それは、社長と阿僧祇の話をしたとき、パソコン画面に映し出されていた桁を表す漢字一覧でだった。
「一を入力して、それからゼロを十五回押してください」
「十五回!?」
予想以上の桁数だったのか、社長が驚きの声をあげた。私が軽く頷くと、社長は渋々、数えながら丁寧に打ち込んでいく。
「で、この数字はなんなんだ?」
「“けい”ですよ」
「けい?」
視線をこちらに寄越さないままおうむ返しをしてくる社長に私は説明を始める。
「はい。十の十六乗のことです。美代子さんから、倉木さん候補名だった穣一の漢字を伺って、分かったんです。おじいさまは、息子や孫に一を入れて繋がりを持たせたかったほかに、別の繋がりも入れていたんだって」
「どういうことだ?」
「顧問のお名前は正一、社長のお名前は京一。これだけでは分かりませんでした。でもそこに穣一という名前を加えると、ある共通点が見えてきたんです」
自分が入力している数字と、今の説明で社長も気づいたらしい。驚いたような表情でこちらを向いた。なんだか、こんなにもはっきりと視線を交わらせるのは久しぶりの気がする。
「そうです。正も、京も、穣も、すべては数字の桁を表すんです。阿僧祇や恒河沙と同じで」
穣という漢字をどこで見たのか。普段はそんなに目にしない漢字だ。それは、社長と阿僧祇の話をしたとき、パソコン画面に映し出されていた桁を表す漢字一覧でだった。