俺様社長と極甘オフィス
ドアを開けると、そこはマンションのような居住スペースが広がっていた。ひとつひとつの部屋を確認すると、資料や本などが、まるで図書館のように整理して並べられている。
前一氏の几帳面な性格が窺えた。家族や知人との写真、もらった手紙なんかも綺麗にとってある。社長はそれらを、懐かしそうに目を細めながら見て、一歩ずつ奥へと足を進める。
そしてリビングらしきところのドアを開けると、家具も全部そのままで、今でも誰かが住んでいるような雰囲気だった。
そこで、真ん中にあるテーブルに置かれたふたつの封筒が目に入る。A四サイズのものと、手紙などを入れる茶封筒だ。
社長がその中身を確認すると、大きい方にはこのビルの権利書が入っていた。この権利書をもって、譲渡の書類は無効になるらしい。
そして、もうひとつの封筒の中に入っていたものを取り出す。丁寧に三つ折りされて入っていた紙を見て、社長はため息をついた。
「本当に、どこまでじいさんは見越していたんだろうな。わざわざ名指しで、俺宛の手紙を用意していたなんて」
どこか社長の声が震えていた。やはり私はここにいてはいけないような気がして、居心地が悪くなってくる。私が、そばにいてもいいんだろうか。
迷っていると声がかかった。速読が得意なのは知っているが、もう読んでしまったらしい。胸ポケットに手紙をしまった社長が改めて私の方に向き直った。
前一氏の几帳面な性格が窺えた。家族や知人との写真、もらった手紙なんかも綺麗にとってある。社長はそれらを、懐かしそうに目を細めながら見て、一歩ずつ奥へと足を進める。
そしてリビングらしきところのドアを開けると、家具も全部そのままで、今でも誰かが住んでいるような雰囲気だった。
そこで、真ん中にあるテーブルに置かれたふたつの封筒が目に入る。A四サイズのものと、手紙などを入れる茶封筒だ。
社長がその中身を確認すると、大きい方にはこのビルの権利書が入っていた。この権利書をもって、譲渡の書類は無効になるらしい。
そして、もうひとつの封筒の中に入っていたものを取り出す。丁寧に三つ折りされて入っていた紙を見て、社長はため息をついた。
「本当に、どこまでじいさんは見越していたんだろうな。わざわざ名指しで、俺宛の手紙を用意していたなんて」
どこか社長の声が震えていた。やはり私はここにいてはいけないような気がして、居心地が悪くなってくる。私が、そばにいてもいいんだろうか。
迷っていると声がかかった。速読が得意なのは知っているが、もう読んでしまったらしい。胸ポケットに手紙をしまった社長が改めて私の方に向き直った。