奥寺くんの第2ボタン〜続編〜

「俊哉くん」

「くんいらない…やり直し」

「しゅ、しゅ、俊哉」

「噛んだからやり直し」


もう1年も一緒にいるのに


どうしてか下の名前で呼ぶことに


手こずる私


なんだか今頃になって下の名前で呼ぶことが少し照れ臭いのです


「遅い!雫早く

日が暮れる」


「分かった!じ、じゃあ後ろ向いて!」


「はあ?」


「恥ずかしいんだもん

じっと見られてるから余計に…」


「分かった分かった、

…はい」

仕方なく後ろを向いた奥寺くんを確認して

私は胸に手を当て

うるさい心臓を深呼吸をして落ち着かせてから…


「俊哉!」


と、背中に向かってだけど


やっと言えた奥寺くんの下の名前

ここまで手こずると思わなかったけど


言えた。

嬉しい






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