【完】恋愛エゴイズム
「七彩、早く顔見せろ…」
そう呟いてから、物凄くばかな発言をしたと気付き、近くにあったバケツをカンッと蹴った。
傍にいないだけで、こんなにも調子が狂うとなると、いい加減限界も近いんだろうか?
「ばか七彩。早くちゃんと出て来いよ」
もう一度ぽつりと呟いてから、オレは教室に戻った。
「…あ。侑悟ぉ〜。やっほ〜…」
で、教室に戻れば。
都合のいいマンガみたいに、元気で間の抜けそうなこいつがいる訳で。
「お前、体調はいいのかよ?」
「んーー?うん。よく寝たぁ…寝不足だった?」
「って、オレに聞くなよ。お前のことだろーが」
「だって。侑悟の方が知ってそうだし?」
「あぁ?なんでだよ?」
「んー…。なんとなく?」
「ばかが」
「ひどい〜。でも、好き〜…」
「寝言は寝て言え」
「ぐー…」
「そこで寝るな!この万年ばかが」
「むー。寝ろって言ったのは侑悟なのにー?」
「例えだ、例え!」