【完】恋愛エゴイズム
「ばか」ってすぐ言うくせに、こうやって優しくしたりして、心がグラグラして、もっともっと好きになる。
 
 
「侑悟ぉ〜眠い…」
 
「知るか。ばーか」
 
 
素っ気ない口振りとは逆に、その顔は優しくて、泣き出しそうになって本当に苦しい。
 

 
冷たくするのに、なんでそんなに柔らかい笑顔をくれるの…?
 
 

「おい。マジで寝る気か?ふざけんな。ったく」
 
 
くしゃくしゃ
 
 
不意に髪を乱されて、カァーっと顔が熱くなる。
 
大きな手。
あったかくて、優しい手。
 
 
「…なんつー顔してんだか。鏡で見てみろ。ばか面が見られんぞ?」 
 

意地悪なことをいっぱい言うのに、最近はどうしてか、…ひどく優しいスキンシップを求めてくる侑悟。
 
 
触れた場所が、胸が、ヒリヒリと火傷する。
 
あたしは、ぎゅうっと胸の辺りを押さえて、何でもないことのように、「ひどいなぁ〜」と笑った。
 
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