恋愛上手な   彼の誤算
「ごほ…っ」
「わ、大丈夫?驚かせてごめん」

なんとか水を流し込み事なきを得たところでナチュラルに向かいに腰かけた相沢さんが顔を覗き込む。同時に同じ分だけ身体を退いた。

「大丈夫、です……それより相沢さん、こんなところで何やってるんですか」
「何って、ココア持って西本さん探してた。……何で小声なの?」

周囲を気にする私に相沢さんは本当に分からないという顔できょとんとする。これだからモテ男は。

「ちょっと、別の場所でいいですか?」
「あ、早速二人になりたいとか」
「違います!……これ戻してくるので」

「冗談だってー」と後ろから掛けられる声に溜息を吐きたくなった。目立つんですよあなたは、と続けたいところだったがどうしても周りの目が気になってしまう。食べ終わったトレーを持って片付けに席を立った。

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