プラス1℃の恋人
「頭痛い……めちゃくちゃだるい……」

 なにかを考えようとすると、頭がずきずきと痛む。

 体の上にかけてあったバスタオルが、寝返りを打ったはずみでベンチの下に落ちた。
 ひんやりした風が肌にあたる。

 ――気持ちいい。

 しばし心地よい空気に浸ってみたけれど、ふと我に返って青羽は自分の体に手を這わせた。
 そしてゆっくり視線を下に向け、おそるおそる自分の姿を目で確かめた。

 ――え?

 裸だった。
 いや、正確に言えばブラは一応胸の上に乗っかっている。
 けれど、ただ乗っかっているだけの状態だ。
 肩紐は落ち、背中のホックは外れている。

 そして、ブラの上に着ていたはずのシャツとキャミソールがない。
 ショーツははいているけれど、キュロットスカートは消えている。

 見覚えのない場所。
 記憶はない。
 そして、着ていたはずの服が消えた。

 ――どういうこと!?

 起き上がった瞬間、ぐらりとめまいに襲われた。
 青羽はこめかみを抑える。

 めまいが治まるまでしばらくじっとしたあと、落ちていたバスタオルを拾い、体に巻き付けた。
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