強制両想い彼氏
優しい彼氏
「お」 私の姿に気付いた彼が小さく手をあげる。
「おはよ」
眩しくてキラキラした太陽みたいな笑顔で、今日も彼はいつもの席に座ってにいた。
朝の通学途中の少し人の多い電車。前から2車両目。彼はいつも入り口近くの席に座っている。
「おはよう皐月(サツキ)くん!」
私が駆け寄ると、彼は立ち上がって席を譲ってくれた。
「ここ座りな」
「えっ!いいよ悪いよ!私は大丈夫だから皐月くん座って!」
「じゃあ俺の膝の上座る?そしたら2人で座れるよ」
「そ……それは恥ずかしい」
「冗談だよ。ほら、いいから座れって」
皐月くんは自分が座っていた席に私を座らせると、満足そうに小さく微笑んだ。
あまりに私を愛しそうに見つめるから、恥ずかしくて思わず俯く。
でも、私は皐月くんのこの表情が大好き。
< 1 / 60 >