強制両想い彼氏
皐月くんは同じ高校で、クラスは違うけど学年は同じ2年生。
少し明るい茶色の髪は毎日きちんとセットされてて、少し大胆に胸元を開けたワイシャツとか、腰に巻いてるセーターとか、制服の着こなし方もすごく今時っぽい。まさに典型的な“モテる男の子”の容姿をしてる。
背は高いし、顔も整っていて、笑うと子犬みたいに可愛い。
しかも運動神経は抜群で、サッカー部のエース。
こんな非の打ち所がない彼が、なんと私の彼氏。
しかも皐月くんは、とっても優しい。
「ていうかお前、体調悪いの?」
「え?」
「顔色あんまり良くない」
皐月くんは私の頬に手を当てて、心配そうに私の顔を覗き込んだ。
「えと……昨日夜ホラー映画観たら寝れなくなっちゃって、寝不足なんだよね」
「ホラー映画?そんな寝不足になるくらい怖いやつなんてあるんだ?でもそれは俺もちょっと観たいかも。なぁ今度一緒にそれ観ようぜ」
「えええええ!嫌だよ!めっちゃくちゃ怖いんだよ!?」
「いいじゃん。見たいもん怖がってるお前。キャーッて泣きながら抱きついてきてくれたりするんでしょ?」
「ばか!!!」
「嘘だってごめん」 わざとらしく怒ってみせると、皐月くんはくすくす笑いながら、私の頭を撫でて謝った。
そして少し屈むと、一瞬だけ私の耳元に唇を寄せた。
「幽霊でもなんでも、お前に触れようとする奴は俺が全員やっつけてやるから。だからお前は何も怖がらないで、俺の側にいればいいよ」
耳元でそんなこと囁かれれば、思わずかあっ、と顔が熱くなる。