強制両想い彼氏


私たちの出会いは、まさにこの電車。

1年生の頃も、私たちはクラスが違かったけど、毎朝この電車で乗り合わせていた。
皐月くんは目立つから、かっこいい男の子がいるなぁ、という認識はあったけど、特にそれ以上の何かがあるわけでもなかった。
これだけかっこよければ彼女くらいいるだろうって思ってたし、仮にいなくても私のことなんて眼中にないだろうって思ってた。

そんなある日の朝、たまたま皐月くんの隣の席が空いていて、偶然座った時だった。
「携帯教えてくれませんか?」って、頭の上から降ってきた声に驚いて顔を上げると、顔を真っ赤にした皐月くんが私を見つめていた。

最初は私の友達に誰か狙ってる子がいて、紹介して欲しいとか言われるのかなって思って連絡先を交換したけど、すぐにそれが違うと知ってとても驚いた。
「一目惚れしてから、ずっと気になってる」って言われた時は、冗談だと思って2、3日信じられなかった。


「今日の電車、なんかいつもより混んでたなー」


電車を降りた私たちは、肩を並べて学校までの道を歩く。
皐月くんはやっぱり優しくて、自然に車道側を歩いてくれていた。

そんなところもかっこいいな、なんてぼんやり考えていたら、皐月くんが何か思い出したかのように口を開いた。


「そういえばさ、お前今日何の日か覚えてる?」


皐月くんが不意にそんな質問をしてきたから、私は思わず首をかしげる。

私の誕生日はこないだ終わったばっかだし、皐月くんの誕生日はまだまだだし。
バレンタインも終わったし、小テストは来週だし、皐月くんが好きなお笑い番組は明日だし……。

「やっぱり忘れてた、か」 私がうーん、と唸って悩んでいたら、皐月くんは呆れたように眉を下げた。


「今日は俺たちが付き合い始めて4ヶ月記念日だよ」



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