*好きと言えない俺様王子*
<颯side>

 俺が帰ろうとすると、また色々群がってきた。

「黒瀬くーん、一緒にかーえろ?」

「あ、黒瀬君!」

 無駄に甲高い声でキャーキャー言うやつら。

 普段はあんな高い声じゃねーのに、俺の前だと取り繕っている。

 そして校則違反だと思われるレベルの化粧。

 なんだかどれも同じような顔に見えてくる。

 みんな型で抜き取ったみたいに同じ化粧して。

 正直……鬱陶しい。

「邪魔、どいて。俺帰るから……」

 何人かの女子を退けながら歩いていると

「く、黒瀬くーん!待って!」

 背後から俺を呼び止める声がした。

また女か……

 走ってきたのか、息があがっている。

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