*好きと言えない俺様王子*
 俺はそれが気に食わなかったから、こいつらに恥をかかせてやることにした。

「……そうか、悪かったな。掃除するよ」

「え!?く、黒瀬君!?掃除なんか……」

 唖然とする女子を背に、俺は椿の方へ向かった。

「く、黒瀬君……掃除、一緒にしてくれるの?」

 身長差の関係で、自然と椿は上目遣いになる。

 ……ヤバいな……可愛い。

だらしなく顔が緩みそうになるのをなんとか抑え、冷静に言う。

なんか俺、どうかしてるみたいだ。

「あぁ。忘れてただけだ」

 後ろをチラッと見やると、女子共の悔しそうな視線が、実に面白かった。

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