*好きと言えない俺様王子*
<椿side>

 意外なことに、黒瀬君は掃除をすると言ってくれた。

 絶対に断られると思ったんだけど……

 でも、嬉しい!


 教室に着くと、私は黒瀬君に雑巾を渡した。

「えっと、クラス全員分の机を拭くらしいよ。廊下側の2列はもう私がやったから、窓側の2列をお願いしてもいいかな?」

「あぁ。分かった」

 黒瀬君はおもむろに雑巾を受け取ると、一番端から拭き始めた。

 私はその間に授業で使った黒板を消そう。


 ……ダメだ。

 黒瀬君と2人っきりになったはいいけど、気まずい……

 話す話題を全く考えていなかった!

 
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