*好きと言えない俺様王子*
 2年前……私が中学2年生の頃だった。

 私は男子に告白された。

 放課後、人気のない校舎裏に呼び出されて。

「好きです。ずっと赤澤さんのこと、見てました。付き合ってください」

 その男の子は黒瀬君と人気を二分するくらいモテていて。

 けれど、黒瀬君とは正反対の性格。

 黒瀬君が強引な俺様王子なら、その人は白馬の王子だ。

 けれど、私はその人のことを恋愛感情として好きじゃなかった。

「ごめんなさい。気持ちはとても嬉しいけれど……付き合えません。でも、これからも仲良くしてね」

 できるだけ、優しく断ったつもりだった。

 少しでも傷を浅くできるようにって。
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