*好きと言えない俺様王子*
「いっっってえぇぇ!」

「へっ!?」

 鈍い音と共に、彼の悲鳴がした。

 そして手首の拘束が解ける。

 次の瞬間、男の人は苦しそうに座り込んだ。

 そして足元に転がるのは……

「サッカー……ボール……?」

 なんでこんなとこに?

 誰かが蹴ったボールがあの人に命中した……?

 少なくとも近くに人はいなかったから遠い距離から?

 え、でもピンポイントで遠距離から当てるなんて至難の業、誰がやってのけたの……?

 私の頭はとにかく疑問だらけになっていた。

 そんな疑問に答えるかのように登場した人物。

 それが――……

「おい、こっちに来い」

 黒瀬君だった。
< 18 / 71 >

この作品をシェア

pagetop