*好きと言えない俺様王子*
「え?」
またもや手首を拘束され、早足で連れて行かれる。
けれど、あの生暖かな気持ち悪い手じゃなくって、温もりを感じさせる手だった。
「あ、あの」
「いいからついてこい。あいつが動けない内に」
そう言われてハッとした。
さっきの人が、頭を抱えてうずくまっている。
「おい、待てお前!」
彼が立ち上がり、私たちを追いかける。
「ちっ……早く逃げんぞ。厄介なことになる」
「あ、あ、うん」
私は状況が飲み込めないまま、彼についていった。
「なんとか撒いたか……」
何分か走って、プールの方に私達は逃げた。
「大丈夫か」
「あ、うん!ありがとう!」
私の手から、黒瀬君の手が離れていった。
「気をつけろよ。それじゃ」
颯爽と歩く黒瀬君の後ろ姿を、あの時の私は追いかけられなかった。
そしていつしか、黒瀬君を目で追うようになっていて……
そしていつしか、黒瀬君を好きになっていった。
これが、私の黒瀬君を好きになった理由だ。
またもや手首を拘束され、早足で連れて行かれる。
けれど、あの生暖かな気持ち悪い手じゃなくって、温もりを感じさせる手だった。
「あ、あの」
「いいからついてこい。あいつが動けない内に」
そう言われてハッとした。
さっきの人が、頭を抱えてうずくまっている。
「おい、待てお前!」
彼が立ち上がり、私たちを追いかける。
「ちっ……早く逃げんぞ。厄介なことになる」
「あ、あ、うん」
私は状況が飲み込めないまま、彼についていった。
「なんとか撒いたか……」
何分か走って、プールの方に私達は逃げた。
「大丈夫か」
「あ、うん!ありがとう!」
私の手から、黒瀬君の手が離れていった。
「気をつけろよ。それじゃ」
颯爽と歩く黒瀬君の後ろ姿を、あの時の私は追いかけられなかった。
そしていつしか、黒瀬君を目で追うようになっていて……
そしていつしか、黒瀬君を好きになっていった。
これが、私の黒瀬君を好きになった理由だ。