*好きと言えない俺様王子*
「おい、そっち終わったか?」

 黒瀬君の声に、ハッと我に返る。

「あ、うん!終わったよ!あとは職員室に報告に行くだけだよ」

「そうか」

 私は雑巾を絞りながら言った。


 用具を片付けた後、私は教室に戻った。

 既に黒瀬君が鞄を持って待っていた。

「行くぞ」

「うん。あ……」

 教卓の上に積まれた、提出物のノート。

 先生に運んでこいって言われてたんだっけな……

「黒瀬君先に行ってて。私これ運んでくから」

 私は積み上げてあるノートを抱え、歩き出す。

 にしてもノート多いな……前が見えない……

「あ、黒瀬君。良かったらドア開けてくれないか……」

「お前バカか」

 またしても、黒瀬君は私の言葉を遮った。
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