*好きと言えない俺様王子*
「俺に頼れって言ってんだろ」

 唖然としている間に、黒瀬君は私の手からノートの山をかっさらっていった。

「わ、悪いよ!」

「別にこれくらいなんともねーし」

「よくない!なんかこう……罪悪感が……」

 私が手ぶらで横を歩くのはなんか気が重い。

「せめて半分!半分持たせて!」

 私が食い下がると黒瀬くんは

「はぁ……じゃあ20冊きっちり半分。これでいいか?」

 ため息混じりに言うと、半分渡してくれた。

「ありがとう!」

 私がお礼を言いながら受け取ると

「別に……」

 黒瀬君はそっぽを向いてしまった。

 心なしか、耳が赤いのは気のせいだろうか。

 風邪だったら大変だ。

「いいからさっさといくぞ」

 すごい早足で元気そうに歩き出したから、大丈夫か。
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