*好きと言えない俺様王子*
 職員室に報告と運搬を済ませ、やっと帰宅できる。

 外に出ると人影は疎らで、さっきの喧騒は静まり返っていた。

「お前、駅だよな?」

「うん。黒瀬君も?」

「それりゃそうだろ」

 あっ、同じ中学だから同じ地域に住んでるんだったよね。


 成り行きで、2人並んで歩く。

 まさかこの私が黒瀬君と一緒に帰れる日が来ようとは!

 あぁ私はこんなに幸せで良いのでしょうか!

 
 改札から電車の車内まで、終始無言だったけれど別に良かった。

 黒瀬君の隣にいれること自体貴重だ。

 改札をくぐって、私と黒瀬君は別方向だからお別れだ。

 赤い夕焼けが、私と黒瀬君の影を伸ばした。


「黒瀬君、今日はほんと、色々ありがとう!」

「……別に、俺は日直の業務を果たしただけだ。むしろ忘れていたのを教えてくれたお前に感謝する」

「あれ、黒瀬君また顔赤いけど平気!?やっぱ熱が……」

「ちげーよ!夕日のせいでそう見えるだけだろ!」

 そうぶっきらぼうに言うと、またそっぽを向かれてしまった。

「そっか。じゃまた明日学校でね!」

「あぁ」

 私と黒瀬君は別方向へ歩き出した。

 私はスキップしながら帰ったけどね!
 

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