*好きと言えない俺様王子*
 皆のところに戻ると、班員全員が慌てていた。

「どうしよう、あれって誘拐……!?」

「俺先生に連絡するわ!」

「じゃあ僕は警察に……」

「椿……」

 関崎と桃川は見苦しいほど怯えていた。

 とくにあいつの親友である関崎は。

「白坂、警察に通報してるんだったな。車のナンバーを覚えているから伝えてくれ」

 俺がメモを渡すと、白坂は軽く頷いて警察に伝えてくれた。

「くそ……っ!他にねーのかよ……」

 車を追跡したところで、どうせ盗難車の類だ。

 乗り捨てられるのがオチに決まっている。

「あ、そうだ!」

 突然関崎がスマホを取り出したかと思うと、画面を俺に見せつけてきた。
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