*好きと言えない俺様王子*
<椿side>

 ずいぶんと気を失っていた。

 多分知らない間に睡眠薬を使われていたんだ。

 気が付けば、口にはガムテープ、腕はロープで縛られていた。

 スマホがポケットに入っているのに使えないのが悔しい。

「やぁ。やっと目を覚ましたか」

 聞き覚えのある声に、私はハッとした。

 あなたは――!

 そう言いたいけれど、言葉を紡ぐことすらままならない。

 男はサングラスとマスク、ニット帽をおもむろに外していく。

 そしてあらわになった顔――

「覚えている?青原聖也。2年前君に告白した男子だよ……」

 ……忘れるはずがない。

 あの卑劣な男を――
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