*好きと言えない俺様王子*
「さて……君はどうしてここに連れてこられたか分かるかい?」

 青原さんは爽やかな笑みを浮かべた。

 白馬の王子のような、爽やかな笑み。

 私は顔をしかめながら、首を振った。

「そうか……単刀直入に言おうか。……復讐だよ」

 そう言うと、彼はポケットからナイフを取り出した。

「……っ!」

 何かしら凶器を持っていることは想定していたけれど、いざ見るとやはり怖気づいてしまう。

「いいねぇ……その顔」

 青原は気味の悪い笑みを浮かべると顔を近づけてきた。

「やっぱ復讐はこうでなくっちゃ」

 耳元で囁かれ、私はビクッとした。

 黒瀬君にならされたいけど……ってそうじゃない!

「なんで復讐されてるか、分かる?」

 私は首を横に振った。

 思い当たる節が全くないわけでもない。

 けれど普通、フッただけで誘拐なんてするの?
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