*好きと言えない俺様王子*
「君にフラれてムカついたのもそうだけど……理由はそれだけじゃない」

 彼はどんどん私に詰め寄ってきた。

「一度もフラれたことなんてなかったのに……おかげでプライドがズタズタさ」
 
 彼はため息をついた。

「君が沖縄の旅行に行くと、君の高校の知り合いから聞いたものでね。あとをつけてきたんだ」

 うえ、何この人怖い……ストーカーやん!

「僕はね……君のせいで高校の入学が取り消しになったんだよ」

「……!」

 私は先生に言っていないし、何も知らなかった。

「君が告げ口したんだろ?お陰で合格していた高校から入学を取り下げられたんだよ」

 必死で首を横に振るけど、返ってきたのは舌打ち。

「しらばっくれんなよ……あぁ、黒瀬の奴が告げ口したなら辻褄が合うな……まぁいい。とにかく俺はお前が憎いんだよ!」

「!」

 ナイフを振りかざされ、ロープを切られる。

 そしてワンピースのジッパーを下ろされ、同時にスカートの中に手が入ってくる。


 やめて――!

 大声で叫びたいけれど、声にならない声。

 誰か助けて……誰か…………

 黒瀬く……ん……


――バコン!

 次の瞬間、倉庫の扉が無残に崩れ落ちた。
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