*好きと言えない俺様王子*
 警察が到着し、青原は拘束された。

 のろのろと立ち上がると、青原は言った。

「どうして……どうしてここが?」

「あ、そういえば!なんで?」

 乱れた服を直し終えた椿が言う。

「お前、椿を拘束したからってスマホを奪わなかったらしいけど残念だな。GPSの位置情報がオンになってた」

 俺は翠に借りたスマホの画面を見せた。

「そっかー!それでー」

「翠に調べてもらったら、この倉庫は倒産した会社の倉庫で誰も使用してないらしい。やっぱ倉庫は誘拐の定番だな」

 俺が言い終えると、青原は力なく笑った。

「さすがだ……でも仮に他の班員ならここまでしないだろ?」

 青原は俺にしか聞こえないくらいの小声で言った。

「それは……」

「その意味をよく考えな。ま、いいや。それじゃ」

 彼は警察に連行されていった。


 その意味をよく考えな――

 青原の言葉がリピートする。


 俺が椿を助けた意味――……

 普通に考えれば椿が大事だからって答えになるだろうけど。

 俺は別にあいつを大事に思ったことなんてないし。

 でも、体が勝手に動いていた……


 あーくそ、分かんね。

 どうしたんだ、俺は……
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