*好きと言えない俺様王子*
――カッカッ

「黒瀬君、いる?」

「あぁ。開いてるから入れ」

 え、黒瀬君鍵閉めてないの!?

 あんな誘拐があったばかりなのに無用心だな……

 私より黒瀬君の方が心配だよ、誘拐されちゃうよ!

 部屋に入ると、黒瀬君はベッドの上に座って本を読んでいた。

 ってか部屋着までカッコよろしいんですが!

 黒いポロシャツにハーフパンツという部屋着らしい格好。

 訂正する、部屋着がカッコよろしいんじゃない、黒瀬君がカッコよろしいんだ、ってそうじゃない。

「はい、これプリント!」

「……」

 私がプリントを差し出すも、黒瀬君は中々受け取らない。

「黒瀬く……わっ!?え!?え?」

 差し出した手首を掴まれたかと思うと、一瞬にして視界が反転した。
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