*好きと言えない俺様王子*
 緋波里紅――……

 彼は私の幼馴染で、保育園が一緒だった。

 保育園内で1番仲が良かった親友だ。
 
 私がその街を離れてからは、連絡をとっていなかったけれど……

 まさかこんな形で再開するとはぁ~っ!

「ヤバい、王子様だわ!」
「黒瀬君といい勝負だ!」

 周りの女子が騒ぎ出すのも構わず、私の方へつかつかと歩み寄ってくる。

「久しぶり、椿ちゃん」

 王子様スマイルで話しかけてくる里紅君。

「ひ、久しぶりー……」

「え、2人とも知り合いなの!?」

 翠が驚いたように言う。

 そりゃそうだよねー黙ってたし。

「あーまぁ、同じ保育園で……」

「椿ちゃんの婚約者です」

「そーそー婚約者…………え?」

 
 はあああああぁぁあっ!?

 何言ってるんだコイツ、私か!?私の耳がおかしいのか!?

「え、今なんて?」

「婚約者、だよね?椿ちゃん」

 違う、おかしいのは里紅君の頭の方だった。


 
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