*好きと言えない俺様王子*
 ってそういえば黒瀬君は!?

 黒瀬君はどう思っているのかな……って少し見てみると

「なんだよ、それ……」

 と小声で呟きながら、不機嫌そうな顔をしていた。

 手元に本があったから、読書の邪魔をされて機嫌が悪くなったのかもしれない!

 ごめんね、黒瀬君!((←超鈍感

「椿ちゃん、忘れたの?これ」

 そう言って里紅君が取り出したのは、おもちゃの指輪。

 安っぽいプラスチックの指輪で、大きなガラス玉があしらわれている。

「10年前……お揃いで指輪を買っただろう!?」

「え、そんなことあったっけ……ごめん、全然覚えてないや」

 いくら仲が良かった友達とはいえ、10年前のことは思い出せないや……
 
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