七瀬さんは天使なペテン師
気になる相手
「立花だよな?」
もう一度、彼女に呟くように聞くと?
彼女の、綺麗な茶色の瞳が一瞬大きく見開いた。
しかし…。
すぐに、視線をそらすと
俺など見えていないかのように、本に視線を戻す。
「え…?」
思わず、声が出てしまう。
ウソ…だろ?
人違いか?いや、そんなはずない!
ふっと、彼女の机に視線を落とすと
名前のかかれたプレートが置かれていた。
『立花 華恋』
やっぱり、間違いない…。
もう一度、彼女の方を見るが、完全に無視だ。
もしかして、俺のこと覚えていないのか?
だから、変なやつだと思って無視したのか?
いや、でもあの驚いた反応は…。
そんな事を考えていると、後ろから背中を叩かれ、
やっと、我にかえる。
「お前なにやってんだよ!」
振り返ると、北斗がジトッとした目でこっちを見ていた。
「いや、別に…。それより、ほら俺らも座席確認しよーぜ!」
俺は、あわてて華恋の席から離れ、自分の席を探す。