あじさい少女
その、ある場合とは
あのあじさいの場所だった。
二人はあじさいの側でしゃがみ、上を見上げると
愛が苦しんでいた、あの部屋が見えた。
あの部屋から愛は、この美しいあじさいを眺めていたのだ。
カーテンがそわそわと揺れている。
「本当に、このあじさいには感謝しています。私を救ってくれたのですから」
「そうね。このあじさいがいなければ、今の愛はいないわよ」
「はい、そうです」
そのあじさいの深く奥には、
愛が渡したはずの、雫柄のネックレスがあった