あじさい少女



その、ある場合とは




あのあじさいの場所だった。







二人はあじさいの側でしゃがみ、上を見上げると


愛が苦しんでいた、あの部屋が見えた。



あの部屋から愛は、この美しいあじさいを眺めていたのだ。


カーテンがそわそわと揺れている。









「本当に、このあじさいには感謝しています。私を救ってくれたのですから」



「そうね。このあじさいがいなければ、今の愛はいないわよ」



「はい、そうです」









そのあじさいの深く奥には、





愛が渡したはずの、雫柄のネックレスがあった















< 21 / 24 >

この作品をシェア

pagetop