あじさい少女




それから毎日のように、あの少年は朝食を持ってやって来る。



トレーには必ずあじさいが乗っていて


「必ず食べてください」



それだけ言って去っていくのだった。




初めは食べなかった朝食も

愛は少しずつ、毎日食べるようになった。







「あじさい…また大きくなった」



今日もまた、愛はあじさいを見ている。



あじさいもだいぶ大きくなって、愛の部屋から見てもほんのり赤付いているのが分かった。





「あそこから…とってるのかな」




ずっと触れてみたかったあじさいを、ここまで持ってきた人




誰なんだろう。





私の知ってる人なんだろうか






時間が経つたびに



そんな疑問が愛の胸に染みていた。







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