先生に青春を取られたっていう話
俺は数学準備室を片したり、最後の戸締りなどを済ませなければならなかったので、
櫻木に先に職員用の駐車場に向かうよう指示した。
スーツで今日は来たから着替えはしない
荷物をまとめ俺もすぐに職員用の駐車場に早足で向かった。
ものの10分
着いたら誰もいない職員用の駐車場
静まり返った駐車場で櫻木を呼ぶ
「櫻木ーーー!!」
あれ?おっかしいな・・・
そもそも何で俺のが先に着くんだよ・・・
って、そういや、今日も放課後準備室に来るのも遅かった
確か迷ったって言ってたよな?
「まさか、ここもわからないのか?」
たくっ!!
どんだけ手をかける生徒なんだ。
それにしても自分の高校の場所くらい1年経ってるんだからさすがに覚えろって・・
中庭? 裏庭・・はさすがにないよな?
他だと・・・
「倉庫らへんか?」
この学校校舎から少し離れた場所に倉庫がある。
古いからあまり出入りはしないものの、敷地内にはバッチリあるわけで、今でも使われてるって教頭言ってたな・・
「そのあたりにいればいいんだけどな。」
走って向かうとまさかの倉庫付近に立ちぼうけしている櫻木が見えた。
マジで?
方向音痴かこいつ
ここは、駐車場とは真反対だっての・・
はぁ・・
「櫻木発見。
また迷子になりやがって。」
涙目になっている櫻木が俺の声するこっちを振り返った。
「岡本・・」
菅ー不安そうなか細い声で俺を呼んだ
どんだけ怖かったんだよ
「お前この学校知らなすぎるんだよ。
なんで俺のが詳しいんだよ」
「いや、教師だからでしょうが。バカ?」
おい。
場を明るくしてやろうとした
俺を馬鹿扱いとは・・
生意気
仕方ない。
櫻木 琴音というやつはそういう女だ
「お前な〜・・
まあいいや。駐車場あっちだから付いて来な」
俺は残り少ないタバコをポッケから出し吸う
すげー後ろから視線感じるんですけど・・。
ちらっと見ると俺をジーっと見ていた櫻木とバチッと目があった。
すげー見られてるんですけど、俺
バッと合った目をそらされた
ふ〜ん♩
「こっちゃん〜〜〜
今、俺のこと”かっこいい”とか思ってんだろ〜〜
はは!なんてな〜〜〜」
また、大魔王だの、馬鹿だの反抗的に言い返してくるんだろうな
だけど、こいつの返答があまりにも検討外で・・
「え!? やっぱ、岡本って超能力者なの!?」
「え?」
俺は間抜けな声を出してしまった
俺のこと”かっこいい”って思って・・た、のか?
”ハッ!”とした顔で真っ赤の顔を隠しながらアタフタした様子
こいつどこまで可愛いんだ?
俺、こいつ”櫻木 琴音”が気になる。
ていうか、知りたい。
どんなやつなのか。
嬉しさを隠しながら
俺は櫻木の頭をグシャグシャっと撫でた
「たくっ!
お前は素直なんだかよくわからねーな?」
でも、今の俺も相当櫻木に負けないくらいに真っ赤だろう。