前途多難な恋物語
「今年もくじ運が悪いよね」
「そんなことはない。確かにドラ一を外したのは残念だが外れ一位でもあの選手はいいものを持っている。それになマスコミで騒がれてる選手が大選手になるって決まってるわけじゃない。みんな横一線だ。後は本人の努力次第」
「……」
相変わらず野球になると熱いんだから。
そう、私とパパは晩御飯を済ませてニュースを見ている。
その中で今年のドラフト会議の模様が映し出されていた。
「ま、来年こそは隼人にも頑張ってもらわないとな」
「隼人お兄ちゃんは頑張ってるよ。成績もよかったし、なんたってフルイニイング出場だもん」
「フルイニイング出場は当たり前だ。だが今年のあの球団は…」
「もういいじゃありませんか。はい、デザート」
ママがスイートポテトとコーヒーをテーブルに並べた。
「陽菜のお手製ですよ」
「ほぉ」
パパが一口で食べて
「ん、まぁまぁだな」
「……」
もうちょっと味わってほしいんだけど。
ママと顔を見合わせて笑っちゃった。
「ん、どうかしたか?」
やっぱりパパはパパだわ。