前途多難な恋物語

だけどドラフト会議かぁ。

懐かしいな。

隼人お兄ちゃんの時を思い出す。

あれはまだ私は中学一年生だった。

パパなんて『今年のドラフト注目ナンバーワン選手』って隼人お兄ちゃんが載ってるスポーツ新聞を買い漁ってお兄ちゃんと盛り上がっていた。

その頃の私はお兄ちゃんや隼人お兄ちゃんの試合を見には行ってたけどそれほど野球ファンってわけじゃなかったから、なにをそんなに騒いでるんだってわりと冷静だった。

確かに隼人お兄ちゃんは六大学野球のスターだったし、プロを目指してたのも知ってたから応援もしてたけど、パパやお兄ちゃん達がやいやい騒いでもどうなるもんでもないと思ってた。

だけどドラフト会議当日はパパやお兄ちゃんも緊張していて、その緊張感が伝わりママと私も朝からそわそわ。

そして何球団から一位指名された時は隼人お兄ちゃんが何処の球団に当たりくじが引かれるのかテレビの前でドキドキしていた。

隼人お兄ちゃんは何処の球団でもOKって言ってたけどやはり意中の球団はあったからその球団でありますようにって祈っていた。

そして運命の一瞬。

隼人お兄ちゃんを引き当てたのは関西の人気球団。

ホームが甲子園。

隼人お兄ちゃんが行きたいって願っていた球団。

その年の夏休みに久しぶりに隼人お兄ちゃんと会った時にドラフトの話しになって『やっぱり甲子園で野球したいよな。あ、陽菜ちゃんこれは悠や涼やもちろんおじさんには内緒な』って言って教えてくれた。

だから、よかったね隼人お兄ちゃん。



< 16 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop