前途多難な恋物語

隼人お兄ちゃんの球団が決まった時はパパとお兄ちゃんも大喜びだった。

日頃は感情をあまり表さないパパも興奮していたもん。

なんたって『甲子園の年間シート買おうか』なんて言い出した時はお兄ちゃんは喜んでたけどママに『そんなに再々甲子園まで行けるわけありません!』って一喝されてた。

それにはパパとお兄ちゃんもぐうの音も出なかったな。

フフッ!やっぱりママが一番強いわ。

そしてパパとお兄ちゃんがお祝いのメールを即送ってた。

あ、もちろん私とママも送ったわよ。

それから数日して隼人お兄ちゃんが家に球団が決まった報告に来てくれた時もパパは上機嫌で帰るって言う隼人お兄ちゃんを引き留めて晩御飯まで大盤振る舞いだった。

よっぽど嬉かったんだね。

お酒もよく飲んで 珍しくほろ酔い気分だったし。

『隼人、開幕から一軍にいろよ』とか『開幕戦は見に行くからな』とか言いまくっていた。

そしてあげくの果てに『どうだ、隼人うちの陽菜を嫁にもらわんか?そうしたら隼人は俺の息子になるし、生まれてくる子は絶対に運動神経がいいし凄い選手になること間違いなしだ』なんて。

もうほろ酔いなんかじゃなく完全に酔っぱらってたわね。

私は恥ずかしいしお兄ちゃんはゲラゲラ笑ってるしママは呆れて何も言えなくなるし隼人お兄ちゃんも苦笑いで『陽菜ちゃんには俺はおじさんですよ』って。

今となっては懐かしい思い出だわ。



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