前途多難な恋物語
「陽菜、恭介さんは貴女の父親よ」
そんなこと今さら言われなくてもよくよく分かってます。
ママが隣に座り、そっと私の手に手を添えて
「パパを信じてあげなさい。確かに貴女に対しては娘馬鹿全開だけど貴女が泣くようなことなんて絶対にしないわよ。なんたって陽菜に嫌われるのがなにより怖いんだから」
「う、うん」
「ま、確かに子どもみたいに邪魔をしようとはするけどね」
それが問題なんです。
いまだに隼人お兄ちゃんに会うって時にはくっついてこようとするし、それが無理なら何回もライン入れてくるし既読スルーすると電話掛けてくるし、電源オフにすると隼人お兄ちゃんの方に電話してくる。
これが50半ばの大人のやることなんだろうか。
隼人お兄ちゃんは『おじさんらしいや』っていつも笑って面白がってるけど。
隼人お兄ちゃんは子どもの頃からパパのことをよく知ってるから流してくれてるけど、隼人お兄ちゃん以外の人だったら悲惨なことになってたわ。
あ~隼人お兄ちゃんが私を選んでくれてよかったとつくづく思うわ。