前途多難な恋物語
晩御飯が済み
「風呂に入ってくる」
パパがダイニングを出て行った。
ママと二人後片付けをしながら
「何も言わないわね」
「パパだって分かってるのよ。あんまりやいやい言うと陽菜に嫌われるって」
そんなにひ弱なパパじゃないけど。
「隼人君からのプレゼントは何だったの?」
「まだ見てない」
「そう。じゃあもういいから見てらっしゃい。気になるでしょ?早くお礼も言わなくちゃ。隼人君待ってるわよ。それに今パパはお風呂に入ってるから大丈夫よ」
「ママ…うん、ありがとう」
ママは私の気持ちがよく分かってくれている。
そしてパパのことも。
さすがあのパパと夫婦を20年以上やってるだけのことはあるわ。
急いで部屋に上がり小包を開ける。
出てきたのは白い封筒と青いリボンの掛かった包み。
リボンをほどいて包装紙を剥がして箱を開ける。
「綺麗!」
中に入っていたのは小さな水色の石の付いたペンダント。
「アクアマリン…三月の誕生石。隼人お兄ちゃん誕生石なんて知ってたんだ」
取り出して、そっと首に掛ける。
今、着ているのはピンクのフリースのなんてことない部屋着なんだけど、このペンダントを着けたことによってなんだかお洒落な服に見える。
フフッ、私の欲目かしら。
そして封筒を取り上げ封を切る。
中から出てきたのはチケット四枚と…これは…
カードを開けるとそこには
『HappyWhiteDayEve♪』って文字が踊っている。
ホワイトデーイヴ?あ、確かに今日は13日だからホワイトデーイヴか。
って、そんな言葉あったっけ?
そしてそれに続く文字を目で追う。
フフフ…隼人お兄ちゃんったら。
頭がいいと言うか策士と言うか。
電話を今すぐしたいんだけど『素敵なプレゼントありがとう。後から電話します』ってLINEを送る。
たぶん下でやきもきしている人がいるから先にご機嫌を取りに行こうっと。