前途多難な恋物語



そう。

私一人だと到底許してもらえないことを隼人お兄ちゃんは百も承知だからパパとママと三人分のチケットを手配してくれた。

カードには『陽菜ちゃんに応援に来てほしい』って。

それに続く文字が『もちろんおじさんと志織さんにも試合を観てほしい。陽菜ちゃんに相応しいと認めてもらう為にも勝つ!いや、絶対にヒットを打つから』って。

そして『陽菜ちゃんは俺の勝利の女神だから』なんて。

隼人お兄ちゃん、パパじゃないけど結構気障なこと言うのね。

でも…嬉しいよ。

「泊まりか。久しぶりに親子三人行くか」

「そうですね。陽菜も就活で忙しいけど大丈夫なの?」

「うん、その日は大丈夫」

藤倉陽菜、只今絶賛就活中。

もちろんお兄ちゃんと一緒でパパの会社には入る気はないし、パパとママも『そんなに甘くない』って突き放されている。

こういうことには厳しいんだよね当たり前だけど。

「ん、じゃあ陽菜、駅で待ち合わせるか」

「ううん、私は先に行く」

ちょっと柔和になったパパの顔にまた厳しさが戻る。








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