前途多難な恋物語

「それと試合のチケットもありがとう」

『本当は開幕戦に呼びたかったけど広島だしさすがに無理かと思ったんだ』

「うん、ま、大阪も広島もそんなに変わりはないけど4月の初めはパパ達も忙しいと思うから二週目の方がよかったよ。それに元野球少年だったパパにしたら聖地だし」

『ん、俺もそう思った。陽菜ちゃんとこうなる前からこっちには何回も観に来てくれてるし』

「うん」

『涼と悠にせがまれたら仕方ない』なんて言いながらも春休みや夏休みには応援に行ってたもんね。

本当はパパが一番楽しんでたのかも。

『で、おじさんOKしてくれた?』

「うん、大丈夫よ。ホテルまで用意してくれてるんだもん文句のつけようがないよ」

『でも陽菜ちゃんの前乗りにはいい顔しなかったろ?』

フフフ…よくお分かりで。

「まぁ、初めはね。でもママが言ってくれたから大丈夫。その代わり」

『ん?』

「金曜日は隼人お兄ちゃんには会わずにホテルに戻るって約束した。もし試合が長引いたら球場まで迎えに来るって」

『ハハハ…相変わらずだな。試合が終わったら飯食ってから送って行こうと思ってたけど諦めるか。今、おじさんにご機嫌損ねられたらヤバイから』

「ほんと、ごめんね。我が儘なパパで」

『いや、それがおじさんだから。物わかりがよすぎると返って気味悪い』

た、確かに。

さすがによく分かってるわ。





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