偽りの先生、幾千の涙
「もしもし?」
「もしもし、兄さん?
俺だけど、ちょっと用事っつうか、まあ用事が出来たら、夜に電話するわ。」
「…そのために電話してきたのか。」
「兄さんが待っててくれたら悪いだろ?
じゃあまた。」
急に切れた電話に、俺は首を傾げる。
確かに、何時間も掛けてこなかったら心配はするが…何の用事があるっていうんだ?
嫌な予感が少ししたが、そんなに大きな事は起こらないだろう。
俺は背伸びをしてベッドに倒れ込む。
海斗は夜に電話を掛けてくると言っていたから、それまで寝ておこうか。
余計な事を考えたせいで、少し脳が疲れている。
俺は目を瞑ったが、寝れなかった。
どうしてか、今日の事ばかり思い出してしまうのだった。