偽りの先生、幾千の涙


その日の帰り、花音ちゃんに別れを告げてから、帰るのを遅らせる方法を考えた。


残念な事に、私も今日補講がない。


誰かに声を掛けたら、下校時間までギリギリまで一緒にいてくれる子は沢山いるけど、私に声を掛けられたって言いふらされそうだから避けたい。


普通の女子高生みたいに何処かでお買い物したり、遊んで帰るのわけにもいかない。


そういう事は校則で禁止されているし、制服が有名だから目立ってしまうのだ。


はあ…どうしようかな。


補講が始まるまでは、クラスの子とお喋りをしていた。


補講の無い子は大人しく帰っていくので、手を振って見送ると、図書室に向かった。


でも図書室は人が多すぎるし、喋れない代わりにジロジロと見られる。


数多の視線が不愉快で、私はすぐに図書室から出た。


次は何処へ行こうか…そんな事を考えていると、個人面談の出来事を思い出した。


応接室の近く…誰の目にも止まらないあの場所なら、良い感じで過ごせる。


私は職員室に行くフリをしてそこに向かった。


行くまでは色んな人にあったし、今日は一人ひとり丁寧に接してあげた。


そんな事で時間を潰しながら漸く辿り着くと、案の定、誰もいない。


ラッキーだと思って、私は廊下に座り込んで問題集を開いた。


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