偽りの先生、幾千の涙
でも、父さんの考える復讐が日本でしか出来ない事は事実だ。
そのために準備を重ねてきたのだろう。
…俺は、俺の出来る事をしなければ。
俺はベッドから起き上がる。
今からが勝負だ、それも命懸けの。
お嬢様の監視も、復讐も、全部…
俺は危険物の入った段ボールを探る。
今日に睡眠薬を使ったから、補充しないといけない。
あとは…拳銃は流石にまだいらないか、でもスタンガンは持っておくか。
榎本果穂を連れてこいって言われるかもしれないし、何かで抵抗されたら面倒だ。
それから…
俺は必要なものを取り出しては、多すぎると言って直す、それを繰り返した。
繰り返しながら、俺は考え続けた。
父さんが何をしたいのか、海斗が何をしたいのか、俺が何をしたいのか、そして…この復讐劇はどのようにして終わり、榎本果穂はどうなるのか。
最悪、関わった人間は全員死ぬ。
死ぬ覚悟はとっくに出来ていたが、本来関係のない榎本果穂や国木田花音も死ぬのかと思うと、少し後味が悪いような気がした。