偽りの先生、幾千の涙


でも、父さんの考える復讐が日本でしか出来ない事は事実だ。


そのために準備を重ねてきたのだろう。


…俺は、俺の出来る事をしなければ。


俺はベッドから起き上がる。


今からが勝負だ、それも命懸けの。


お嬢様の監視も、復讐も、全部…


俺は危険物の入った段ボールを探る。


今日に睡眠薬を使ったから、補充しないといけない。


あとは…拳銃は流石にまだいらないか、でもスタンガンは持っておくか。


榎本果穂を連れてこいって言われるかもしれないし、何かで抵抗されたら面倒だ。


それから…


俺は必要なものを取り出しては、多すぎると言って直す、それを繰り返した。


繰り返しながら、俺は考え続けた。


父さんが何をしたいのか、海斗が何をしたいのか、俺が何をしたいのか、そして…この復讐劇はどのようにして終わり、榎本果穂はどうなるのか。


最悪、関わった人間は全員死ぬ。


死ぬ覚悟はとっくに出来ていたが、本来関係のない榎本果穂や国木田花音も死ぬのかと思うと、少し後味が悪いような気がした。



< 154 / 294 >

この作品をシェア

pagetop