偽りの先生、幾千の涙
私は自室に戻ると、鍵を閉めてスマホを見る。
これが何かは分からないけど…他人の持ち物に付けている。
爆弾にしては小さすぎるから…盗聴器かしら?
何にしても、伊藤の狙いは分かった。
伊藤の最終目標は私でなく父親であると確信してもいい。
どんな件で恨んでいるのかは知らないけど、自業自得だわ。
…さて、そうなると私の行動は変わってくる。
私はクローゼットの中に隠した遺書を引っ張り出す。
春に死のうとした時に書いたものだ。
私はもう一度中を確認する。
そこには父親が今までしてきた事が書いてある。
私が見聞きしたものや、ゴミ捨てや掃除の際に見付けてしまった事…そういう事の集大成だ。
国木田先生が絡んでいるものもある。
そうか、今も悪い事をしているから、部屋に入った事をあんなにも怒ったのね。
そうに違いないわ。
私はそう思いながら、遺書を読み続ける。
最後の方は、確信はないけど不思議で仕方なかった事が書かれてある。