偽りの先生、幾千の涙
「成功報酬は?」
「成功報酬?
そんなのあげないよ。
ただ…出来なかったら、お仕置きはあるよ。
まだ決めてないけど。」
「…せめてそちらの情報を少しいただけませんか?」
「俺の?
教えないよ。
教えたら、外で何を漏らすか分からないから。
君は俺の言う事だけ聞いてればいいんだ。」
楽しそうに話す伊藤が、癪だった。
何処で失敗して、こんな事になったのかしら。
「そんなの嫌です。
何の見返りもないのに、働けませんよ。
…知りたい事を知れたら、1つだけお願いを叶えて下さい。」
「お願いにもよるな。」
聞く気がないような態度だけど、せめてこれくらいは飲んでもらわないと怒る。
「…です。」
伊藤は目を見開くと、大声を上げて笑い出した。
そこまで笑われるような事、言ったかしら?
「面白い子だね。
いいよ、成功報酬はそれって事で。」
伊藤はそう言うと、私の上から退いて、解放する。
私は即座に起き上がると、伊藤を睨み付けた。
それでも伊藤はヘラヘラと笑っていた。
やはり癪に触る男だった。